原発性局所多汗症(脇汗・手汗)LOCALIZED HYPERHIDROSIS
原発性局所多汗症は、必要以上に特定の場所で汗をかく症状です。
特に手のひらやわきの下で多く見られます。これは体温調節に必要ない状況でも起こることがあります。多くの場合、思春期からこの症状が始まり、続くことがあります。また、家族内で似た症状が見られることもあり、遺伝的要因が考えられる場合があります。
この状態は、日常生活や社会的な活動に影響を与え、心理的な負担になることもあります。
脇汗・手汗の原因と症状
原因はまだ完全にわかっていませんが、神経の過活動が関係しています。心理的なストレスや緊張が、多汗を悪化させます。主な症状は、手のひらやわきに大量の汗が出ることです。これにより、皮膚のトラブルや悪臭も発生することがあります。特に若い方の中には、これが不安や自信の喪失につながる場合もあります。この症状は、学校や仕事などでも困難を引き起こすことがあります。
脇汗・手汗の治療
治療法はいくつかあり、原発性多汗症と診断された場合は保険適応となります。
■この疾患の診断基準
- 最初に手や脇の多汗症状がでたのが25歳以下
- 左右の手のひら、脇に汗をかく
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 1週間に1回以上手の多汗症状がみられる
- 家族に同じ症状の方がいる
- 手汗、脇汗のために日常生活の支障をきたしている
※過剰な発汗に対して明らかな原因がなく、6か月以上経過し上記2項目以上が当てはまる場合
- エクロック®ゲル
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わきの汗に特化した外用薬で、日常的に使用できます。肌への影響があるかもしれないので、適切に使用しましょう。
対象年齢は12歳以上となります。
- ラピフォート
ワイプ® -
こちらもわきの汗に特化した外用薬で、シートタイプで、外出時にも手軽に使用できます。持ち運びに便利で、汗をすぐに拭き取ることができます。
対象年齢は9歳以上となります。
- アポハイド®
ローション -
手の汗に特化した外用薬で、1日1回、就寝前に適量を両手全体に塗ります。
対象年齢は12歳以上となります。
※上記以外にも当院では実施しておりませんが、ボトックスを使った治療もございます。
ご自宅で注意いただくこと
日常生活での工夫が、多汗症の影響を和らげます。
- 衣服の選択
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通気性の良い服を選びましょう。綿素材の衣類が汗をよく吸収します。
- 健康的な生活習慣
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バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけてください。これが神経系の安定化につながります。
- 汗の拭き取り
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汗を放置しないで、こまめに拭き取ることで、皮膚を守ることにつながります。
受診の目安
次のような場合は、医療機関の受診をおすすめします。
- 手汗がひどく、プリントが破けるなど学校生活に影響していると感じる
- スポーツで手汗によってラケットやバット、ボールなど用具が滑ってしまう、皮がむける
- 手汗でゲームや楽器の演奏がしづらい
- 脇汗が出るので色付きの服が着づらい
- 多汗が原因で他人との接触を避けるようになったり、自信を失っていると感じる
- 市販の制汗剤などの使用で対策するが、改善が見られない
治療を早期に行うことで、早く改善する可能性が高くなります。
手汗・脇汗は夏の汗が出やすい時期だけでなく、冬場でも暖房などによって部屋が暖かくなることで悩む方が多いです。上記の状況に該当する場合は、一度受診ください。院長自身も、手汗の影響により学校行事で友達と手をつなぐときにとても遠慮をしたことや、筆記テストを受けるときも手汗の影響で鉛筆やシャーペンが滑って書けないことがありました。今は保険適応で治療が受けることができ、院長の体験に即した対応も診察の中でお伝えできると思いますので、お悩みのお子さんは一度ご相談ください。